​YUKA OHISHI

  • YouTube
  • Twitter
  • Instagram

NFTの本音とタテマエ #TechTalk Ep1


こんにちはYukaです。

TechTalkは、過去・現在・未来のテクノロジーと文化について深堀りし、解説していくシリーズです。

今回は、ここ最近よく聞くようになった「NFT」について、お話していきます。

高額売買や、大企業の参入などによってしばしば話題になるので、気になっている方も多いかと思います。

現時点で史上最高額で売れたNFTは、Beepleというアーティストの作品が、約75億円で売れたり、CryptoPunksという老舗シリーズは、1万点のコレクションがありますが、平均取引額が数千万円で、高く売れるものは10億円を超えます。

企業側では、TwitterがNFTのプロフィール写真機能を試験的に導入したり、Nike、Adidas、Pradaなどのブランドも続々とNFT界に参入しています。

実際にメディアでもてはやされているようなメリットが実現できているのか、この動画では、仕組みやリスクについて解説したいと思います。


 

ブロックチェーンって何?

「NFT」の話に入る前に、まずは「ブロックチェーン」の話をする必要があります。

ブロックチェーンは、取引履歴を暗号技術によって時系列に沿って1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術です。

時系列につながっているため、過去の取引を改ざんしようと試みたとしても、そのブロック以降のすべてのブロックも改ざんする必要があるため、改ざん耐性に優れているデータ構造です。

既存の銀行のシステムのように集中管理型システムでは、銀行やカード会社が台帳を管理していて、例えばAさんがカードで500円のコーヒーを買おうとしたとき、カード会社にAさんは本当に500円の支払い能力あるんですか?っていうことを問い合わせて、OKだったら決済が完了します。

ブロックチェーン上で何かを購入するときは、全ての取引がブロックチェーン上に記録されているため、その台帳と照らし合わせて、Aさんの残高が足りているかなどをチェックします。


 

NFTって何?

NFTとはnon-fungible tokenの略で、日本語だと「非代替性トークン」と訳されます。

とはいえこれだけでは意味が分からないので、もっと噛み砕いていくと、Non-fungibleがあるということは、Fungibleも対比として存在します。

「代替性」とは、分割できる、唯一性がない、交換可能だということです。例えば、お金は私が持っている1000円と、あなたが持っている1000円は、同じものなので交換しても問題ないですよね?また、500円玉2つに両替しても、価値は同じです。

一方で「非代替性」とは、分割できない、唯一性がある、交換不可能ということです。例えば、私の家と、あなたの家を交換しましょうと言っても、同じ家というジャンルだけど、立っている立地や、家自体の大きさなどが違ったら、1対1ですんなり交換できないと思います。

NFTは、家の例のように分割や交換することができない「ブロックチェーン上に記録・認証して取引するデジタルコンテンツ」のことです。


 

NFTの成り立ち

NFTは、去年くらいからよく聞くようになった方も多いかと思いますが、実は一番最初のNFTは、2015年に生まれていました。それ以降、様々なプロジェクトが生まれては消えていき、現在有名なNFTプロジェクトの例でいうと、CryptoPunks、Bored Ape Yacht Club、CLONE Xなどがあります。


 

NFTの種類

先程挙げたCryptoPunksなどのプロジェクトは、PFPと呼ばれプロフィール写真として使えるような、多くの場合1万点前後の自動生成された絵があるタイプのNFTなのですが、実はNFTには他にも色んな種類があります。

例えば、音楽、ドメイン、チケット、サブスクなどがあり、ただ所有欲を満たすアートだけでなく、何か実用性のあるNFTが盛り上がってきています。

「このNFTを持っている人だけができる◯◯」というサービスが色々増えていて、例えばこのNFTを持っている人だけが参加できるパーティ、ファッションショー、動画配信サービス、などがあります。

また、オフラインと連携しているものもでてきており、例えばAdidasが出したNFTを持っている人は今年のいつか実際のパーカーをもらえることになっています。

NFTはどう取引されるか

NFTが作られて売買できる状態にするためには、まず「ミント」というプロセスがあります。Mintとは、直訳すると「造幣」という意味で、スマートコントラクトを通して、NFTを新たにブロックチェーン上に作ります。

その後、2次流通ではブロックチェーン上に乗っているNFTを取引します。OpenSeaなどのプラットフォームを使うことがメジャーな取引方法です。


 

NFTのタテマエ

NFTの利点としてよく語られる点がいくつかあるのですが、ポジショントークなしでそれが本当に利点として機能しているかということについてもぜひ考えて欲しいです。

まずひとつ目は、NFTは「唯一無二」であるということ。

これは、現実では唯一無二なのはハッシュ(IDのようなもの)だけで、アート自体の唯一無二性を保証するものではありません。


次に「アーティストをサポートできる」という点ですが、確かに収益化できる仕組みはありますが、実際に広くアーティストに行き渡っているか不明で、特定の大きいプロジェクトに資本が集中しているだけかもしれません。

一定期間中のOpenSeaの取引データをスクレープして分析した結果、SuperRareなどの取引所の平均取引額は数十万円相当ですが、実は3割以上が$100以下で、半分以上の取引は$200以下でした。高額取引によって平均値が引っ張られていたり、高額取引ばかりがニュースになったりするので目立ちますが、実はほとんどのアーティストがそこまでの収入を得られていない現実があります。

$100で売れたとしても、手数料などがかかるため、ほとんど利益が残らず、下手したらマイナスになってしまうという場合もあります。


次に「真偽の証明」のためにNFTを使うという点においてですが、例えば同じ画像がブロックチェーンに乗っているものと、乗っていないものがあれば、乗っているものは真偽や出どころを証明できます。でも、ブロックチェーンの特性上誰でもどんなものでもミントできてしまうので、そのNFT自体の真偽を証明することはできません。

盗作、トレース、著作権侵害などを、あまりにも簡単に、しかも匿名でできてしまい、誰かひとりでも騙されれば元が回収できてしまう構造になっています。OpenSeaなどのプラットフォームは、自らのプラットフォームで明らかに盗作のものなどは表示しないなどの対策を取ることはできますが、ブロックチェーンの特性上、一度ミントされたものを取り下げたり、削除したりすることは非常に困難です。

NFT購入を検討する際は、アーティストや運営者が本当に信頼でき、公式のアカウントであるか確認してから購入されることをおすすめします。


 


その他問題

他にも、電力消費量についてもよく指摘されるポイントです。ブロックチェーンごとに電力消費量は違うし、改善していく予定もありますが、2021年時点ではビットコインとイーサリアムはそれぞれアルゼンチンまるごとと同じくらいのエネルギーを消費しました。

日本と比較すると、全国の年間電力消費量の10%以上の規模でBitcoinやEthereumがエネルギーを消費したことになります。


NFTは、株式取引に似ている点がいくつかありますが、株式市場が何十年もかけて様々な法律を制定し、詐欺行為を禁止したり検知できるような仕組みを作ってきましたが、NFTにはそのような仕組みも法律もほとんどなく、無法地帯になっています。

株式では詐欺の一種として禁止されているような行為も、比較的簡単にできてしまいます。

複数のアカウントを作ることがかなり簡単なので、複数アカウントを使ってあたかも高額取引がたくさん行われているように見せるウォッシュトレーディングのような市場操作が、株式とは比較できないくらい簡単に合法にできてしまいます。

実際に600万点以上のNFTの取引履歴を分析した研究によると、85%の取引はトップ10%のアカウントからなされているというデータも出ています。大量の取引がごくわずかのアカウント間で行われているということです。



 

NFTの成功例もある

NFTの危険性について多く紹介しましたが、成功例もあるのでしょうか。

既存の広告ありきの収益モデルでは、企業ばかりが儲かって、クリエイターの収益分配は、貢献度に対して少なくなるというケースが多く見られます。

NFTだと、それをくつがえすことができる可能性があります。RACさんは、グラミー賞も獲ったことのあるアーティストで、Spotifyの月間リスナー数は350万人にのぼります。彼が音楽をNFTにして販売したところ、5人のコレクターが買ってくれ、そのNFTから得た収益は、Spotifyからの収益よりも多かったそうです。



 

さぁどうする?

私は個人的にいくつかNFTを売買してみたり、情報収集したりしているけど、他の人に「これを買ったらいいよ」とは安易に言うことができません。

NFTを通じて人生が変わるくらいの額のお金を手にしたり、コミュニティを見つけたりした成功例も色々と見ましたが、アカウントがハッキングされてNFTでコレクションした財産が盗まれたという悲惨な話も数え切れないほどあります。

それでも買ってみて、色々と勉強しているのは、単純に新しい技術や、それによって生まれるカルチャーが面白いと思っているからです。

課題も山積みなので、個人的には冷静な目で見守りつつ、でもあまりにも冷笑的になったりしすぎず、これから増えていくであろうNFTやブロックチェーンの応用に期待してウォッチしていきたいと思っています。

メディアにはあまりにもポジショントークが溢れているし、新しい分野で日々情報が更新されていくので、ぜひ自分自身で調べて、考えて、周りの人と意見を話しあってみていくのがいいのではないでしょうか。

詐欺のカモにならないように、ぜひご自分で色々と調べて、勉強代として払ってもいいくらいの額で試してみることをおすすめします。


 


NFTやブロックチェーンについての質問や皆さんのご意見、この新しいシリーズTechTalkで取り上げてほしいトピックなどがありましたら、コメントでぜひ教えてください。


🔻YUKA OHISHI NEWSLETTER

月1でニュースレターお送りさせていただきます!

登録はこちらからお願い致します。